1.空気中の化学物質から健康を守るための環境調査と対策

特定非営利法人化学物質による大気汚染から健康を守る会(2018年)

 NPO化学物質による大気汚染から健康を守る会では、空気中の化学物質から健康を守るための環境調査と対策及び市民への啓発普及活動をしています。

 

 この問題は汚染化合物種類と、それに伴う健康影響が、このように変化してきたことです。

 健康に影響が大きい最近の化学物質はイソシアネートなので、主にイソシアネート類全体を左の図のような試薬テープの色変化で検出する分析記録器で濃度を調べました。

 

 また、身近な環境で急に増えたイソシアネート発生源は、柔軟剤や消臭剤の中の香料を包んだマイクロカプセルなので、右のようなテレビ型で千倍まで見える顕微鏡でも調べました。

 イソシアネートはトルエンの1万分の1ほどに、極めて薄くても発症しやすい特段に危険な化合物で、軽いうちには目や皮膚・粘膜と鼻や喉の炎症、心臓や神経の症状で、喘息や過敏性肺炎で治らなくなり、急死することもあります。

 

 また、これによって過敏になると、普通にあるいろいろな物にも過敏になります。発癌性もあります。

 イソシアネートは多種多様な種類があり、塗料や接着剤にも、ゴムや樹脂の形でタイヤやバンパーやフィルムやクッションや床材や道路舗装やコンクリート改質にも、衣類の繊維や防水加工にも、農薬を使いやすい製品にするにも広く使われています。最近は柔軟剤や消臭剤の香りや殺虫剤、除草剤などを長持ちさせるように、イソシアネートでマイクロカプセルにして包み込む香り製品が流行して、環境汚染と被害者が急増しています。

 顕微鏡で見ると、初めのマイクロカプセルはこのように丸くて、中に香料が入っていますが、空気中にフワフワ飛んできて、吹き寄せられたのをみると、ぐしゃぐしゃにつぶれるばかりか、細い糸のように切れ切れになったのも見えます。

 

 膜になっていたイソシアネートは、こうしてやせ細ってもとのイソシアネートとして空気汚染していきます。

 

 人はイソシアネートとしても、イソシアネートで出来たマイクロカプセルとしても、これを吸い込んだり触ったりして、具合悪くなっているのです。受診した患者が急増しています。

 分析器を持って、道を通りながら分析してみると、こういう場所でこれほどの濃度のイソシアネートがありました。

 この様な調査結果を、環境省、厚労省、経産省に説明に行きました。参加した会員の一人一人が受け持ったイソシアネート空気汚染の調査結果を説明しました。行政はすぐにメーカー団体に意見を伝えて回答を返してくださいました。業者の認識は調査結果と隔たりが大きい状況ですが、汚染と被害者が増え続けているので、国立機関での分析調査実施を陳情する予定です。他の市民団体とも連携したセミナー等で啓蒙・調査活動を行い、環境省・厚労省などへのパブコメにも応募を重ねています。

 日用品に含まれる12種類の主な化学物質にアレルギーになっている一般市民の血液検査をした2017年3月の医学研究報告でも、陽性の市民があったのはこの5種類の化学物質だけで、検査した2種類のイソシアネートはどちらも陽性な市民があり、合わせて32%の市民がイソシアネートに陽性で、「日常生活における何らかの環境汚染のためと考えられる」とのことでした。化学物質アレルギーの観点から遠隔診療システムで診療する病院も出来、該当する受診者が増えているとのことです。

 

 私達の調査活動結果が反映されて、増加していく環境汚染に気づいた人が増え、医学的にも反映して役立っているようです。他の市民団体とも連携したセミナー等で啓蒙・調査活動を行い、環境省・厚労省などへのパブコメにも応募を重ねています。